苗木生産は接ぎ木作業が本格稼働。
体験や視察に来ていただける方もいて、
そんな中で「なぜ接ぎ木をするのか?」という質問をいただいたのでここで。
ちょうど読んでいた「たたかうソムリエ」という本に、
接ぎ木に関する記述が出てきたので引用。
P34
「19世紀後半、ヨーロッパのワインを絶滅寸前に追い込んだ
フィロキセラという害虫がいる。フィロキセラはブドウの根に寄生する。
そこでその害を避けるため、アメリカ種のブドウを台木として植え、
ヨーロッパ種のブドウをそこに接ぎ木する、という手法が取られた。
フィロキセラは北米原産であり、アメリカ種のブドウの一部は
それに対する抵抗性があったためだ」
「以来、今日に至るまで、世界中のワイン産地で、この方法が取られている。
その例外がチリだ。アンデスの向こうのアルゼンチンにはフィロキセラがいるのに
隔絶されたこの国にはいない。
だから接ぎ木することなく、ブドウの木は自らの根で大地とつながっている」
ワイン用のブドウ品種の多く(ヨーロッパ系、ヴィニフェラ)は、
フィロキセラという昆虫の寄生を根に受けやすい、ということですね。
そこで、フィロキセラに対する抵抗性品種(北米系、ラブラスカ)を、
台木とし、ヨーロッパ系を穂木にしている。
同時に、これらの台木は穂木の生育を盛んにするもの(喬化=きょうか性)から、
生育を抑えるもの(矮化=わいか性)まで各段階があり、
耐寒性などについてもそれぞれ特有の性質を持っている。
台木品種の選択は品種の特性や土壌条件などに応じて決定される。
この組み合わせこそが、ワイン用ブドウの苗木作りの肝なわけですね。
ただ、最近では接ぎ木を利用しない、
いわゆる「自根苗」に注目する生産者も登場してきている。
自根苗の方が味わい上、優れているという考えを持つ人もいるが、
そのあたりは僕としては結論を出していません。
初期生育は接ぎ木苗に比べて遅くなるのは確実。
でもワインの味はわからないしな。
非常に興味深いし、おもしろいと思う点。
(自根を推奨する苗木屋などいないと思うけど。
みんな接ぎ木使わないと商売あがったりになってしまう笑)
自根に関して、以下、引用。
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ただし、現在では国内にフィロキセラの存在がきわめて少なくなっており、
台木を用いない自根苗でも寄生を受ける危険性は少ない。
品種によって、自根樹でも樹勢が適当で果実の品質も優れる場合には、
自根の挿し木苗も使われている。
しかし、自根苗が国内に増えたとき、
何かのきっかけでフィロキセラが大発生する危険性も
残されていることも忘れてはならない。
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引用は「果樹園芸大百科3 ブドウ」より。
北海道における台木ごとの適応性などはまだまだデータが少なく、
今後も含めて追跡調査して、数値化などもしていければと思う。
ちなみに読んだ書籍などに関しては、
ブログ「苗木屋の書斎(リンク)」にてアップしていってます。
このブログ、かつては飲んだワインに関するメモだったのですが、
現在はそちらは「北海道ワインラヴァー(リンク)」に引っ越していって、
知識系の元データの部分の蓄積に当てていっています。
よければこれらのブログもよろしくお願いします。
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