ウイルス病について

以下は「ワイン醸造技術」日本醸造協会、2022年より引用。

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1) ウイルス病
植物ウイルスは数μm以下の大きさの核酸とタンパク質からできており、
生体細胞内でのみ増殖が可能であるが、ウイルス自身に移動手段がなく、
寄生した植物の汁液が他の植物に侵入することで伝染する。

ブドウに感染するウイルス病は50数種類挙げられているが、
日本において罹病が確認されているのは十数種類である。
ウイルス病の感染は、剪定などで使用した刃物類や
カイガラムシなどの節足動物が吸汁した樹液によって伝搬するといわれている。

ウイルス病の検定方法は、指標品種に接ぎ木して病徴を確認する生物検定、
ELISA法など抗原抗体反応を利用するもの、
RT-PCR法のような遺伝子診断法などが開発されているが
ウイルス病を防除する農薬はなく、
感染した植物は茎頂培養や熱処理などの特別な処理をしない限り除去できない。

実際にはウイルス病の特徴的な病徴がみとめられた樹を直ちに伐採し
園外に除去することによって伝染の拡大を防いでいる。
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また、以下は「ブドウ大辞典」より引用。

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主なウイルス病と病害虫

ブドウ果実の品質を低下する要因として、ウイルス病、病害および虫害がある。

i) リーフロール
ブドウについて数種類のタイプの病原が確認されており、晩夏から秋にかけ て葉脈間が肥厚して葉巻き症状をみせる。 赤ワイン用品種では葉は褐変し紅葉 する。白ワイン用品種では葉は黄変し葉巻き症状が顕著となる。果実の糖度は低下し、着色不良や成熟が遅くなり品質の低下が著しい。

 ii) ファンリーフ
葉が扇状に奇形、葉柄の欠刻の広がり、葉縁の鋸歯先鋭化, 葉脈間に退緑斑
点がみられるなどの病徴が確認されており品種ごとに病徴が異なる。 また,多 くの国で感染が確認されており世界的な被害が大きい。

III) フレック
ファンリーフと同様に葉が扇状に奇形し、葉脈間に退緑がみられるなどの病徴が確認されているものの、病徴が発現せずに潜在感染して世界中に広く伝染しているといわれている。

jv) 味無果病
枝葉には病徴が現れないが,、果実において糖度の著しい低下,、着色不良,糖 酸比が低く食味がひどく低下する。 1965年頃から山梨県において甲州に被害られた。リーフロールとフレックによる重複感染と考えられているが確認され大きな問題となったことから、茎頂培養などの方法でフリー化が急がれる。

vi) その他のウイルス病

皮が厚くコルク化 (コーキーバーグ) し, 小さなくぼみ(ピッティング)やシ 葉が波打ち奇形化し、退緑斑紋症状などをみせる 「えそ果病」や、枝幹の樹 ワのような溝(グルービング) などの粗皮症状を生じる「ルゴースウッド」などがある。

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